2024年1月04日

アルコール性肝障害について

治験コンシェル

アルコール性肝障害について

アルコール性肝障害とは?

お酒が大好き、毎日缶ビール3本以上は飲んでいる。 いつもお腹が張っている。疲れやすくなった。食欲が落ちた。 長期にわたる(通常5年以上)過剰な飲酒によって起こる、さまざまな肝障害の総称が「アルコール性肝障害」です。 アルコール性肝障害の中でも軽症の「アルコール性脂肪肝」(肝臓に、大量の中性脂肪やコレステロールを蓄積)は、特に困ったりつらかったりということがないため、見過ごされることが多く、健康診断や人間ドックの検査結果で初めて発覚されるケースも少なくありません。 ただ、初期のアルコール性脂肪肝が進行して、肝臓に炎症が起こっている状態の「アルコール性肝炎」になると、食欲不振、倦怠感、発熱、右上腹部の鈍痛、黄だんなどが現れるようになります。 これが悪化すると肝臓内に繊維が蓄積される「アルコール性肝線維症」になり、さらに重症化すると肝臓が硬くなった状態の「アルコール性肝硬変」、細胞ががん化する「アルコール性肝がん」など、命に関わる疾患につながっていきます。

その原因は?

主な原因は、「アルコール」の大量摂取を長年続けること、栄養バランスの偏りや腸から細菌成分を含んだ「炎症物質」が吸収されて肝臓に入ることが上げられています。 アルコールを体内で分解するとき、有毒物質である「アセトアルデヒド」が発生します。肝臓はこのアセトアルデヒドを無害な水や二酸化炭素に分解する役割を担っていますが、大量の飲酒を続けていると、肝臓がアセトアルデヒドを分解しきれなくなります。体内に残ったアセトアルデヒドに攻撃されて、肝臓の細胞は変性や壊死を引き起こし、次第に機能が低下していきます。 ただし、アルコールを分解する能力は、遺伝的な要素にも左右されるため、人によってはたとえ飲酒量が少なく、期間が短くてもアルコール性肝障害になることがあります。 また女性は男性に比べて、短期間の飲酒でアルコール性肝障害が発症・悪化することが多いようで、女性は男性に比べてアルコールの代謝速度が遅く、エストロゲン(女性ホルモン)などの影響を受けやすいからだと考えられています。

治療法は?

アルコール性肝障害には、特徴的な自覚症状や病状がほとんどないため、血液検査で肝機能や肝炎ウイルス感染の有無などを調べ、アルコール以外の原因がないかを検討してから治療に入ります。 最も基本的な治療法は禁酒と食事療法です。アルコールの摂取量を抑えて肝臓を休めるとともに、食事の内容を脂肪分の少ないバランスの取れたものにし、 そのほか状態に応じて薬物療法などを行います。 アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性繊維症の場合、禁酒と食事療法、運動療法などによって改善を目指します。 禁酒治療では、抗酒薬に加え、飲酒欲求を抑制する新たな薬剤がわが国でも使用可能となりました。 アルコール性肝炎が重度の場合はステロイド剤を使うなど薬物療法や血漿交換療法などを行うこともあります。 これまで病状の改善は望めないといわれてきたアルコール性肝硬変も、食事療法や新たな利尿剤などの保存的加療の進歩によって救命率は上昇しています。 過剰な飲酒の背景に、アルコール依存症などの精神的な疾患があるケースでは、精神科の医師による治療も必要です。断酒を促すためのカウンセリング、薬物療法としての飲酒量低減薬、また飲酒後の不快反応を起こす嫌酒薬を使用することがあります。 「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、よほどのことがない限りSOSを出しません。したがって症状が出てからでは遅く、早期発見が大切です。そのためお酒を常習的に飲んでいる方は、症状がなくても定期的に血液検査を受けたいものです。 新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html

執筆者

治験コンシェル
治験バンクコラムの企画・執筆・編集をしています。マーケティング、SEO対策、デザインに強みを持ったメンバーが、最新情報やノウハウをわかりやすくお届けします。