「治験」が、人気のバイトとして定着
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、工場、お店、会社の営業が縮小したり休業したり。パートもアルバイトも働きたくても募集がない、時短営業で働く時間が大幅に減った、収入が激減したという声が、あちこちから聞こえてきています。
そんな中で、いつもと変わらず開催され、高額の収入で人気なのが「治験バイト」です。最近では、学生さんや主婦の皆さんに混じって、副業として治験に参加するサラリーマンの姿も見られるようになりました。
「治験」とは、これまでになかった効果的なくすり、安全性の高いくすりを創薬する際、厚生労働省から承認を得るために人で行う最終試験(臨床試験)のことです。
治験では、試験の段階に応じて、健康な人や特定の病気にかかっている患者さんの協力を得て、人への効果と安全性を調べます。この臨床試験に参加してくれる人は「治験モニター」と呼ばれています。
治験モニターは新薬開発における「ボランティア」であり、本来、報酬はないのですが、治験に参加することで必要になる交通費や食事代、通院・入院治験での時間的拘束、日常生活の制限などの負担を軽くするために、協力金という名目でかなり高額の「負担軽減費」が支払われています。
応募には学歴や経験、スキルは一切問われず、軽度な仕事内容で、しかも高額の収入が得られることから、通称「治験バイト」と呼ばれ、現在たくさんの人が参加しています。
通院治験と入院治験、2つのタイプ
治験には通院タイプと入院タイプがあり、どちらも基本的にはくすりの候補を使って効果や体調の変化、副作用の有無などを調べていきます。検査ではほとんどの場合に採血を行いますが、治験の内容によってその頻度は異なります。
治験バイトには高額の協力金(負担軽減費)が支払われますが、実は、治験の内容(どんなくすりか?など)には全く関係なく、「通院タイプか、入院タイプか。時間の長さや生活行動の制限、拘束、交通費などの負担の大きさ」などで金額が決められます。
通院タイプの治験
決められた日に通院して、薬の投与や検査を受け、その日のうちに帰れる日帰りタイプの治験があります。
協力するのは4〜5時間程度と拘束時間が短く、負担感やストレスが少なくてすみます。
通院タイプの協力金は1回7千円〜1万円程度と、入院治験に比べて低くなりますが、自宅から通えるため、いつもの生活スタイルを変えることなく気楽に参加できます。
また通院タイプでも、通算の実施期間が長かったり、検査が多いものであったりすれば、謝礼金も高額になります。
入院タイプの治験
比較的自由時間がある人、試験休みや、春・夏・冬の長期休暇を利用してしっかり稼ぎたい人にお勧めなのが入院タイプです。
入院タイプの治験は拘束時間が長くなることが多く、さらに何度も採血や検査をしたり、禁煙・禁酒や外出不可などの行動制限があったりと負担が大きくなりますが、それに比例して負担軽減費も高くなります。
およその相場が1泊1〜2万円のため、1カ月入院した場合は30〜60万円になることも。規則正しい暮らしや集団生活が苦にならない人なら、試してみる価値はあります。
協力金の支払いは?
治験モニターの協力金(負担軽減費)は、治験終了後に支払われます。
通院タイプでは即日手渡しがほとんどですが、入院タイプなら主に治験の最終日に手渡しとなるか、銀行振り込みのいずれかです。入院が2期に分かれる場合は、1期に半額、2期に残りが支払われます。
事前に確認しておくといいでしょう。
治験の協力金には税金がかからない?
治験に参加する治験モニターは、新薬開発をサポートする「ボランティア」であり、持病のある患者さんには「治療の一環」であるという位置づけのため、そこで得た収入(負担軽減費・協力金)は「謝礼」になります。
会社員やアルバイターがもらっている給与とは違って、社会保険料や所得税などの税金(源泉徴収)が天引きされず、満額を受け取ることができます。
とはいえ、一切税金がかからないということではないため、注意が必要です。
治験で得た報酬は、雑所得という区分になるため、受け取った金額によっては確定申告をして税金を払う義務が生じることもあります。住民票のある市区町村や税務署で確認しておくと安心です。
新しい薬を誕生させるために行われる「
治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html