機能性表示食品を知っていますか?
最近、こんなニュースを見かけました。
【日本初!免疫機能で機能性表示食品として届出受理・iMUSE(イミューズ)ブランド発売】
キリンホールディングス(株)とキリンビバレッジ(株)は、独自素材の「プラズマ乳酸菌」を使用した6商品が機能性表示食品制度の「健康な人の免疫機能の維持をサポート」に関する表示で、免疫機能で初めて消費者庁に届出受理されたことを受け、当該商品を全国で順次発売します」<2020年9月28日>
これが、代表的な機能性表示食品の公告です。
食品に含まれる特定成分の機能(有効性)を表示した機能性表示食品が数多く発売されている中で、「免疫機能」をうたった商品はiMUSEが初めてです!とアピールしています。
「自社商品の特徴がはっきりと打ち出せる」、「選ぶ際、自分に必要な機能が入っているかどうかが分かりやすい」・・・機能性表示食品は、企業にも消費者にもメリットのある制度だと言えるでしょう。
機能性表示食品ってどんなもの?
食品成分の機能(有効性)が表示できる制度が発足
2015年までは、機能性を表示できる食品は、国が個別に許可したトクホ(特定保健用食品)と、国の規格基準に適合した栄養機能食品の2つだけでした。
1)トクホ(特定保健用食品)とは
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。
表示されている効果や安全性についてはモニター試験を実施して申請。国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。
2)栄養機能食品とは
一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)が不足しがちな場合、その補給のために利用できる食品です。
すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届出などをしなくても、国が定めた表現(単語・言い方)によって機能性を表示することができます。
この2つ以外の食品は、機能を表示(言う、うたう)することができませんでした。
たとえば、よく話題になる「青魚に多く含まれるEPA/DHAには血液をさらさらにする作用がある」、「大豆のイソフラボンには・・」、「赤ジソのポリフェノールには・・・」といった内容は、口コミでは広がっても、宣伝コピーに使ったり、パッケージに表示したりはできず、消費者からも「どれを選べばいいのかわからない」「どんな機能があるのかわからない」という不満が出ていました。
そこで、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者がそうした商品の正しい情報を理解・把握して選択できるよう、2015年(平成27年)4月に「機能性表示食品」制度が始まったのです。
機能性表示食品の定義は
対象は、生鮮食品を含め、食品全般です。食品に含まれる機能性(有効性)について、科学的根拠が容器や包装に表示されているものを言います。
つまり、「○○(成分名)が脂肪の吸収をおだやかにする」「便秘気味の方に」「おなかの調子を整えます」「脂肪の多い食事をとりがちな方へ」「目の健康維持に役立ちます」など、トクホと同様に、特定の保健・・・健康の維持および増進に役立つという機能性を表示できる食品のことです。
ただし、トクホとは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではなく、個別の審査も行われません。
保健機能の科学的根拠や安全性などの情報は事業者の責任で消費者庁へ「届け出」を行えば、機能性を表示できます。
また、届けが出された情報については、消費者庁のウェブサイトで確認できます。
機能性表示食品の機能性の評価のしかた
機能性の評価(試験、検証、判定)は、次の1)または2)によって行われることになっています。
1)最終製品を用いた臨床試験(食品臨床試験、モニター試験とも)
2)最終製品または機能性関与成分に関する文献調査(研究レビュー:肯定的な結果の研究論文だけでなく、否定的な結果の研究論文についても合わせて評価する)
機能性の評価を1)および2)のどちらで実施したかによって、保健機能の表示文言は異なります。
1):「○○の機能があります」
2):「○○の機能があると報告されています」
消費者へのアピール力、信頼性のイメージなどを考えると、1)の臨床試験で評価を行った方がより効果的なことは明らかです。それもあって、たいていの企業は試験モニターを募って臨床試験を実施しているのです。
冒頭で紹介したニュース、「iMUSE」のプラズマ乳酸菌においても臨床試験が行われており、試験の概要などが公表されています。
プラズマ乳酸菌 臨床試験
試験概要1
対象者:健常な男女38名
試験食品:プラズマ乳酸菌を1,000億個含むヨーグルトもしくは含まないヨーグルト(プラセボ)
摂取期間:4週間
概要試験2
対象者:運動部の大学生51名
試験食品:プラズマ乳酸菌を1,000億個含むカプセルもしくは含まないカプセル(プラセボ)
摂取期間:2週間
食品臨床試験のモニターになる
食品モニター試験とは
機能性表示食品の申請方法の1つである「最終製品を用いた臨床試験」では、食品メーカーが、機能性の科学的な根拠を「人(モニター)によって」検証します。
この時の臨床試験は食品が対象のため「モニター試験」と呼びます。(ちなみに「
治験」は医薬品が対象。「くすり・人・国が認めているもの」という3つの要素があるものを言います)
食品モニター試験では、容量設定試験、有効性確認試験、長期安全性試験、過剰摂取試験などを確認します。
試験モニターとは
食品メーカー等が開発、もしくはすでに販売している食品を一定期間試して、血液検査などの身体測定を受けたり、アンケートに答えたりする「ボランティア」を試験モニターと言い、臨床試験に参加することで発生する経費や労力に対して協力費(謝礼)が支払われます。
実施内容は、試験モニターが試験会場に出向いて各種検査を受けたり、アンケートに答えたりするタイプと、自宅から郵送・FAX・インターネットなどでアンケートや日誌を提出するタイプがあります。
事前検査であるスクリーニング検査に参加すると 3,000〜5,000円が支払われます。試験内容によって参加条件が異なるため、条件に当てはまった人は本試験にすすみます。本試験終了後に30,000円〜50,000円の協力費が支払われます。
モニター試験は食品試験のため、気軽に参加できるアルバイトとして人気があります。
新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html