2023年9月12日

トクホと臨床試験モニター

治験コンシェル

トクホと臨床試験モニター

トクホ(特定保健用食品)とは

お茶やコーヒー飲料、ヨーグルト、野菜ジュースなどに表示されている「トクホ」マーク。すっかりおなじみになっていますが、トクホ(特定保健用食品)とはなんでしょうか? トクホは、健康の維持や増進に役立つこと(有効性、安全性)を科学的根拠に基づいて示し、国の審査で認められた食品のことを指します。たとえば、「コレステロールの吸収をおだやかにします」「体脂肪を減らすのを助けます」など、効果の表示が許可されている食品です(パッケージに表示されている効果や安全性については、健康増進法第26条第1項の規定に基づき国が審査を行い、食品ごとに「消費者庁長官」が許可をしています)。 もともとは1991年に厚生労働省が栄養改善法に即して法制化したもので、「特定の保健の目的で摂取する者に対し、当該の保健目的が期待できる旨の表示が許可された食品をいう」と定義されています。 2009年に、食品衛生法やJAS法、健康増進法などの法律が「消費者庁」に移管される中、特保制度も厚生労働省から消費者庁に移行しました。

トクホが生まれたその背景は

UNFPA(国連人口基金)が発表した2020年版世界人口白書によれば、平均寿命が一番長い国(地域)の1位は日本と香港(85歳)、2位はオーストラリア、マカオ、イタリア、シンガポール、スペイン、スイス (84歳)となっています。 世界一の長寿国であり続ける日本では、高齢化社会が深化しておりプライマリヘルスケア(予防医学)の必要性が高まっています。さらに中年・若年層では食生活の欧米化や多様化によって肥満や生活習慣病、アレルギー性疾患が増加しており医療費の負担増も大きな問題になっています。 こうした社会的背景から、各メーカーは生活習慣病を防ぐ機能のある食品や、アンチエイジングに働く飲料、食品、化粧品などの開発に力を注いできました。1991年の特保制度、2015年の食品表示法の施行によって、これまで法的定義のなかった「食品の機能表示」が制度化され、消費者庁長官の許可を得ることで、特定の「保健の用途」に適する旨を表示できるようになりました。

食品の効果はどのように表現できる?

保健の用途の表示とは・・・トクホは、身体の生理学的機能などに影響を与える成分を含んでおり、「血圧や血中のコレステロールなどを正常に保つ」「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」などの表現ができます。 ほかには以下のような表示が許可されています。 *お腹の脂肪を減らすのを助けます *脂肪の吸収を抑えて排出を増加させます *血圧が高めの方に *体脂肪が気になる方に *骨の健康に役立つ パッケージへの表示例には以下のようなものがあります。 *許可表示:●▲■には△□が含まれているため、便通を改善します。おなかの調子を整えたい方やお通じの気になる方に適しています。 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」

トクホ(特定保健用食品)の疾病リスクの低減表示は?

トクホは医薬品ではなく食品です。そのため、病名の表示や病気の改善に関する表示はできません。 しかし2005年に、食品成分の病気リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合には、病名の表示が認められるようになりました。 この新たな制度によって現在「疾病リスク低減表示」が認められた関与成分は「カルシウム」と「葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」です。 カルシウムと葉酸については次のような表現が許可されています。

カルシウム

この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。

葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)

この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。

トクホ(特定保健食品)にも臨床試験がある?

トクホは、人の生命や健康に影響を及ぼす成分を含んでいます。そのため、メーカーが開発した製品をトクホとして認定してもらうには、健康増進法第26条第1項の規定に基づく審査を受けることが必要です。 各種食品臨床試験(人による臨床試験)によって、製品(食品)の有効性を示す科学的根拠を含めたデータを集め、消費者庁(平成21年より)に申請し、許可が得られた場合、健康表示(ヘルスクレーム)と特別の許可マークの表示が可能となります。 食品臨床試験では、実際に人に食べたり飲んだりしてもらって効果を立証するため、医薬品の臨床試験(治験)と同じくボランティア(モニター)の協力が不可欠です。ところで、トクホにおける臨床試験を治験と言わずに「モニター試験」と呼ぶのは、検証する対象が食品だからです。モニターの皆さんも、摂取するのが食品であるため、気軽に参加していただけるでしょう。検査の内容も、治験に比べて時間やその他の負担が軽い、簡単なものになっています。 治験とモニター試験の共通点としては健康診断を無料で受けられることがあげられます。また、どちらも社会貢献をしながら謝礼(負担軽減費)を受け取れるのは大きなメリットだといえるでしょう。 新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html

執筆者

治験コンシェル
治験バンクコラムの企画・執筆・編集をしています。マーケティング、SEO対策、デザインに強みを持ったメンバーが、最新情報やノウハウをわかりやすくお届けします。