2023年9月02日

海外の治験ってどうなってる?

治験コンシェル

海外の治験ってどうなってる?

日本と海外、治験への意識は大きく違う

日本の治験。おそるおそる参加?

全世界で、年間20,000件を超える治験が行われており、治験の被験者(治験に参加する人)は治験ボランティアなどと呼ばれています。 日本人に、治験について聞いてみれば、「未承認のくすりを投与されるなんて、ちょっと・・・」と言う人が多く、また、日本では治験という言葉自体が長い間表舞台に出てこなかったために、不安感を持つ割合が多いようです。 皮肉なことに、新型コロナの蔓延でワクチンや特効薬の話題が毎日のように取り上げられ、それにともなって「治験」が多くの日本人にきちんと認識されることになりました。 とはいえ、一般的なアルバイト情報誌等には掲載されない、少し特殊な立ち位置にあることは今も変わりがありません。治験の被験者(治験モニター)になるには、治験専門のサイトに登録をして、そこから自分に合うものを見つけて応募するという流れになっています。 ここ最近は短期間で高額が支払われる好条件のアルバイト(治験バイト)として、学生や主婦の方々に人気ですが、一方でボランティアや社会貢献として参加しているという意識もかなり高いようです。

治験を積極的に利用する海外

海外での治験に関する情報提供はかなりオープンで積極的です。 たとえば米国では、対象疾患や病態によって多少の違いはあるものの、インターネット、各種雑誌(無料および有料)、テレビ、ラジオ、新聞で広報しています。また、スーパーマーケットやショッピングモール、公共施設などにポスターが貼られていたりします。 さらには、医師も治療の選択肢の一つとして、患者に積極的に治験を勧めますし、医療機関では院内に治験ボランティア募集のポスターを掲げたりチラシを設置したりしています。 ヨーロッパではイギリス、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなどが治験ボランティアの募集公告を活発に行っており、主に新聞、ラジオ、雑誌などで情報が提供されています。 ロンドンでは、治験アルバイト参加者に謝礼金、交通費、宿泊費の補助などを出す運営施設もあるため、遠方から、ときには海外から治験に参加する人もいます。

米国の治験事情は

米国民は何らかの保険に加入しており、病気になった場合、通常の診療費(医療費)はその保険から支払われます。 しかし、所得などの問題で保険に加入していない人が病気になったら・・・。無料で治療を受ける手段として治験参加を申し出ることがよくあります。 米国では、治験ボランティアには治験に係わる費用一切の免除に加えて交通費、昼食代などを謝礼としてではなく、必要経費として支給することが多いようです。 治験参加への要因やメリットについて考えると、治験ボランティアにとっては最新の医療が受けられること、製薬会社や医療機関においては最新の医療情報(承認用データ)が得られること、とwin-winの関係が成立しています。 治験ボランティアは、自分が治験に参加することで新薬が出来上がる…つまり社会貢献になるという意識はもちろんあるものの、それ以上に、治験(治療)に関わる費用の免除や軽減、診察の予約がすぐに取れる、待ち時間が短縮される、治験専用施設での手厚い診察が受けられるなど、実質的なメリットを期待していることは確かです。 日本では、患者が治療法を選択する際には医師の判断に委ねがちですが、米国とくに都市部では自らが積極的に治療法の選択に係わります。治験もその選択肢の一つだと考えることが多いため、患者やその家族が自らインターネットで調べ、治療方法の選択肢の一つとして治験情報を入手しているようです。

日本の治験にはスピードが必要

「日本の治験は海外に比べて遅れている」と、よく指摘されます。 たとえば世界各国で開発された最新のくすりが100あるとして、多くの先進諸外国では、80~95の薬がすぐにも使用されているのに、日本ではわずか15~20程度だと言われています。世界各国で使われている新薬でも、日本で使えるようにするにはまず治験が必要です。ところが、日本国内での治験環境が先進諸外国に比べて遅れているため、なかなか承認されないことが大きな原因と考えられています。 諸外国との施策の違いであるとか、質の高いデータを収集するために努力していることは理解できるものの、治験が進まないことで一番影響を受けるのは、最新医療を受けられない患者です。 厚生労働省は、こうした事態を修正すべく、患者の治験参加を支援するための仕組みを整えたり、平均で4年かかっている治験の迅速化を目指すため「大規模治験ネットワーク」といった医療機関網の整備に取り組んでいます 新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html

執筆者

治験コンシェル
治験バンクコラムの企画・執筆・編集をしています。マーケティング、SEO対策、デザインに強みを持ったメンバーが、最新情報やノウハウをわかりやすくお届けします。