2023年8月07日

花粉症の治療と治験モニター

治験コンシェル

花粉症の治療と治験モニター

ますます増える花粉症、その治療法は?

日本における花粉症の患者数は、正確なところはわかっていませんが、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギー全国疫学調査では、花粉症を有する人が29.8%であったとの報告でした。10年前と比べて確実に増加しています。原因は、花粉飛散数・量が増加していることに加えて、いろいろな環境の変化の影響もあると考えられますが、十分に確認はされていません。(厚生労働省ホームページより)

花粉症の治療法

基本的にはほかの鼻や目のアレルギーの治療と同じですが、花粉症は、急激に花粉にさらされることで起こるため、急性で強い症状への対応が必要になります。現在のアレルギー治療薬の使用方法としては、花粉飛散開始とともに薬剤の投与をはじめる「初期治療」が一般的です。花粉シーズンが始まって、症状が出現してから薬剤を服用し始めるよりも、効果の高いことが分かっているからです。 治療法には、大きく分けて、症状を軽減する対症療法と、根本的に治す根治療法の2つがあります。

対症療法

1)内服薬による全身療法
抗ヒスタミン薬、化学伝達物質遊離抑制薬、ロイコトリエン拮抗薬などの内服。
2)点眼、点鼻薬などによる局所療法
抗ヒスタミン薬、化学伝達物質遊離抑制薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイド薬の点眼、点鼻。
3)レーザー治療
下鼻甲介(かびこうがい)と呼ばれる鼻粘膜の表面をレーザー光線で焼き、凝固させる手術療法。
4)ソムノプラスティ
レーザー治療が鼻粘膜の表面を焼くのに対し、こちらは鼻粘膜の下に高周波電流を流して細胞を凝固・壊死させる治療法。
5)舌下免疫療法
口の中に花粉エキスを落として体内に吸収させ、体を徐々に花粉に慣らしていく治療法。 減感作療法との違いは、体内に直接アレルゲンを入れるのではなく、免疫機能が豊富な舌の周辺から取り入れることと、副作用が極めて少ないこと、自宅で行えるという点です。

根治療法

1)減感作療法(抗原特異的免疫療法)
アレルゲン免疫療法とも呼ばれています。花粉のエキスを注射で少量ずつ体内に入れていき、体を徐々に花粉に慣らしていく治療法です。唯一、根治の可能性があるとされています。

花粉症の新薬の開発と治験

新しい花粉症のくすりは開発されている?

現在、減感作療法(抗原特異的免疫療法)だけが、花粉症の完治が可能だと言われています。 減感作療法は、花粉の抽出液の濃度を少しずつ上げながら、注射で体内に入れていき、体を花粉に慣らす(花粉に対する免疫を獲得する)という方法です。 ただ、今のところ完治率はあまり高くなく、副作用の問題や治療に長い期間がかかるという点から、減感作療法のさらなる研究が進められています。 ほかにも、細胞の中の情報伝達などをコントロールする薬剤や、アレルギーの原因となるタンパク質に対する抗体が治療に応用できるか、といった研究が進められています。

花粉症薬の治験に参加してみませんか

よく、コップからあふれ出す水に例えられる花粉症。体に蓄積された抗体が個人の許容量を超えると、ある日突然、水があふれ出すようにアレルギー症状が出るからです。 毎年花粉症を発症して苦しんでいる方、また、とうとう花粉症の仲間入りをしてしまったという方は、治験に参加してみてはいかがでしょうか。 治験とは、製薬会社や研究所が、国(厚生労働省)から「くすり」として承認を受けるために、安全性と効果についてさまざまな研究・実験を重ねてきた、その最終段階の試験のこと。厳しい国際ルールに則り厚生労働省が定めた基準に従って、厳正に行われており、多くの治験モニターが新薬の認可・承認に役立ってきています。 治験モニターになれば最新の治療方法や新しいくすりを無償または一部負担で試すことができます。治験の実施については専門医が一貫して見守り、事前に詳細な検査や診察を受けることもできます。 もちろん、参加は自由意思で、強制されることはありません。一度参加に同意しても、いつでも辞退することができます。 花粉症に悩む多くの患者さんに「新薬の誕生」という希望を届ける…治験モニターは社会貢献の一つでもあります。 新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html

執筆者

治験コンシェル
治験バンクコラムの企画・執筆・編集をしています。マーケティング、SEO対策、デザインに強みを持ったメンバーが、最新情報やノウハウをわかりやすくお届けします。