2023年7月22日

ウイズコロナの時代の治験

治験コンシェル

ウイズコロナの時代の治験

新型コロナワクチンはいつ接種できる?

新しい年2021年になっても、新型コロナウイルスの感染拡大は広がる一方です。日本では第三波と位置づけられており、感染者数は累計約30万4752人、亡くなった人は4289人に(令和3年1月13日時点)。主要各都市で毎日数字が更新される事態が続いています。 アメリカの感染者は1月5日時点で2000万人を超え、世界最多を記録。イギリスでは従来型より感染力の強い変異種が流行しているため3度目のロックダウンを余儀なくされています。 早期実施が期待されているワクチン接種について、1月7日の「新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見」で、以下のような回答がありました。 <感染対策の決め手となるワクチンついては、製薬会社の治験データ作業を前倒し、安全性、有効性の診断を行った上で、できる限り2月下旬までには接種開始できるよう準備いたします> 現時点で国内初の承認が最も近いのは、アメリカ大手の製薬会社「ファイザー」とドイツのバイオ企業「ビオンテック」が開発したワクチンです。現在、新型コロナウイルスのワクチンとして唯一、厚生労働省に承認申請をしています。 このほか、アストラゼネカ、モデルナ、中国のシノファームとシノバックのワクチン、ロシアのガマレヤ研究所が開発したワクチンなど自国での臨床試験(治験)を経たワクチンがたくさん出てきており、日本での承認を申請することは間違いないでしょう。 ただし、現状のワクチン接種についてはいくつかの問題点が指摘されています。
  1. ファイザー社のワクチンは低温保管ができる特別な施設でしか接種ができない。
  2. ワクチン接種後、免疫ができるまでにどれくらいの期間が必要なのかを調べたデータが少ない。
  3. 副反応のリスクが不明。ワクチン開発では、治験の最終段階・第3相臨床試験(フェーズ3)だけで3〜5年かけるのが普通。今回はいずれのワクチンも治験開始から3カ月程度で承認されている。最低2年は見ないと安全性は確認できない。
  4. ワクチンが供給されても皆がすぐに接種するとは限らない。上記3.における治験期間の短さなどから、ワクチンの安全性に対する信頼や必要性に対する理解が進むには時間がかかる。
  5. ワクチンの予防効果がどのくらいの持続するのか、データで示せる段階にない。

国内の新型コロナワクチン、治験は目白押し

今、日本国内でも数多くの企業や研究機関がワクチンの開発や生産体制の整備に取り組んでいます。 塩野義製薬、第一三共、アンジェス/阪大/タカラバイオ、KMバイオロジクス/東大医科研/感染研/基盤研などが「2021年初期に臨床試験(治験)を開始し、2021年末までには生産体制に入る」という見通しを発表しており、菅総理が記者会見において「治験を前倒し」と言及しているように、今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、すみやかな治験と承認が行われるでしょう。 海外における新型コロナワクチンの治験状況を見ると、アメリカ食品医薬品局(FDA)が公表している資料では、「18歳から85歳の約4万4000人を対象にした臨床試験(治験)の結果・・」とあります。今回のCOVID-19のように、感染率が低かったり、感染しても発症しないケースがあったりする感染症の場合は、数万例の治験モニターを対象にする大規模な臨床試験(治験)を組むことは珍しくありません。 新型コロナワクチン開発にしのぎを削る日本の製薬企業でも、第3相臨床試験(フェーズ3)では、かつてない規模の治験モニターを募ることは明らかです。 新しいワクチンを早期に試すことができる、また社会貢献の役割を果たすことができる「治験モニター」にぜひ注目してください。 新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html

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治験コンシェル
治験バンクコラムの企画・執筆・編集をしています。マーケティング、SEO対策、デザインに強みを持ったメンバーが、最新情報やノウハウをわかりやすくお届けします。