突発性難聴ってどんな病気？

突発性難聴とは、予兆なしに突然片耳の聴力が低下する疾患です。
一般的に、数時間から数日以内に発症します。
患者さんは、朝起きた時に耳が聞こえなくなっていることに気づいたり、突然耳が詰まった感じを覚えていたりします。
この病気は、内耳の機能障害が原因とされていますが、具体的なメカニズムは未だに解明されていません。

突発性難聴は、全人口の約0.05%が発症するとされています。
男女ともに発症する可能性があり、特に40代から50代の中年層に多くみられますが、若年層や高齢者も発症する場合があります。
この疾患は、日常生活において大きな影響を与えるため、早期発見と適切な治療が極めて重要です。

突発性難聴の原因を知ろう

突発性難聴の原因は多岐にわたりますが、明確に特定されたものはありません。
以下のような要因が関与していると考えられています。

ウイルス感染

風邪やインフルエンザウイルスなどが内耳に感染し、聴力低下を引き起こすことがあります。
特にヘルペスウイルスが関与している可能性が指摘されています。

血行障害

内耳への血流が悪くなることで、酸素や栄養素が不足し、内耳の機能が低下することがあります。
動脈硬化や高血圧が背景にある場合もあります。

自己免疫疾患

免疫システムが誤って内耳を攻撃することがあります。
自己免疫性内耳疾患が関与している場合、突発性難聴が発症することがあります。

ストレス

過度な精神的ストレスや身体的疲労が内耳の機能を低下させることがあります。
ストレスは血流を悪化させることもあり、内耳への影響が懸念されます。

遺伝的要因

家族に突発性難聴を経験した人がいる場合、遺伝的な要因が発症リスクを高める可能性があります。

突発性難聴の症状とは？

突発性難聴の主な症状は、突然の片耳の聴力低下です。
これに加えて、以下のような症状が現れることがあります。

耳鳴り

耳の中で鳴り響く音が聞こえることがあります。
高音の「キーン」という音や低音の「ブーン」という音が多く、持続的に聞こえる場合もあります。

耳の圧迫感

耳の中に詰まった感じや圧迫感を感じることがあります。
これは、耳が塞がったような感覚として認識されます。

めまい

バランス感覚が失われ、ふらついたり、回転するような感覚を伴うことがあります。
突発性難聴患者の約30％にめまいが見られます。

耳の痛み

稀に耳に痛みを感じることがあります。この症状は必ずしも伴うわけではありませんが、発症する場合もあります。

突発性難聴の診断方法について

突発性難聴の診断は、耳鼻科医によって行われます。診断のためには、以下のような検査が実施されます。

・聴力検査
純音聴力検査や語音明瞭度検査などで、聴力の状態を詳細に評価します。
これにより、どの程度の聴力低下があるかを把握します。

・耳の検査
内耳の異常を確認するために、オトスコープなどを使用します。耳の中の状態を視覚的に確認します。

・血液検査
ウイルス感染や自己免疫疾患の有無を調べるために血液検査を行います。
これにより、他の病気が原因である可能性を排除します。

・画像検査
内耳や脳の異常を確認するために、MRIやCTスキャンを行うことがあります。
これにより、腫瘍や血管の異常を確認します。

突発性難聴の治療法を理解しよう

突発性難聴の治療は、できるだけ早期に開始することが重要です。
以下のような治療法があります。

ステロイド治療

内耳の炎症を抑えるために、ステロイド薬が使用されます。
これにより、聴力の回復が促進されます。ステロイドは経口投与または点滴で投与されます。

血行改善薬

内耳の血流を改善する薬が処方されることがあります。
これにより、内耳の機能を回復させる効果が期待されます。

高圧酸素療法

高圧酸素室で酸素を吸入することで、内耳の血流と酸素供給を改善します。
特に、内耳の血行障害が原因と考えられる場合に有効です。

ウイルス対策

ウイルス感染が原因と疑われる場合には、抗ウイルス薬が使用されることがあります。
特にヘルペスウイルスが関与している場合に処方されます。

リハビリテーション

聴力の回復をサポートするために、聴覚リハビリテーションが行われることがあります。
これにより、聴力の改善とともに生活の質を向上させることができます。

突発性難聴からの回復と予後

突発性難聴の回復は、早期に治療を開始するかどうかによって大きく影響されます。
治療開始が遅れると、聴力の回復が難しくなる場合もあります。
治療後の予後は以下のように分かれます。

・完全回復 早期治療が功を奏し、聴力が元に戻る場合です。適切な治療を受けることで、ほとんどの患者がこの段階に達することが期待されます。

・部分回復
聴力が一部回復するものの、完全には戻らない場合です。
この場合でも、生活の質を向上させるための支援が重要です。

・回復なし
治療を行っても聴力が回復しない場合です。
このような場合には、補聴器やその他の聴覚補助デバイスの使用が検討されます。

回復の程度には個人差がありますが、早期に適切な治療を受けることが最善の結果をもたらします。
また、治療後のフォローアップも重要であり、定期的に医師の診察を受けることが推奨されます。

突発性難聴の予防方法

突発性難聴を完全に予防する方法は確立されていませんが、以下のような生活習慣を心がけることでリスクを減らすことができます。

適度な運動

定期的な運動は血行を良くし、内耳の健康を保つ助けになります。有酸素運動やストレッチが特に効果的です。

バランスの取れた食事

栄養バランスの取れた食事を心がけることで、全身の健康を維持できます。
特に、ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取することが重要です。

ストレス管理

ストレスを溜め込まないようにし、リラックスできる時間を作ることが大切です。
ヨガや瞑想などのリラクゼーション方法が効果的です。

耳の保護

大音量の環境や長時間のイヤホン使用を避け、耳を保護するようにしましょう。
耳栓やノイズキャンセリングイヤホンの使用も効果的です。

定期的な健康チェック

耳鼻科の定期検診を受け、早期に異常を発見することが重要です。
聴力検査を定期的に受けることで、早期に問題を発見できます。

よくある突発性難聴の質問

突発性難聴に関する一般的な疑問とその答えを紹介します。

Q ： 突発性難聴は片耳だけに起こるのでしょうか？
- A ： はい、突発性難聴は通常片耳にだけ発生します。両耳に同時に発症することは非常に稀です。
このため、片耳の聴力低下が急に起こった場合には、早めに医師の診察を受けることが重要です。

Q ： 突発性難聴は再発しますか？
- A ： 突発性難聴は一度発症すると、再発する可能性があります。
しかし、再発率は高くはありません。再発を防ぐためにも、日常生活での予防策を講じることが重要です。

Q ： 突発性難聴は遺伝しますか？
- A ： 突発性難聴の原因は明確ではなく、遺伝的要因も関与している可能性がありますが、必ずしも遺伝するとは限りません。
家族に突発性難聴を経験した人がいる場合は、発症リスクが高まることがあります。

Q ： 突発性難聴は完全に治りますか？
- A ： 早期に適切な治療を受ければ、完全に治る可能性があります。
しかし、治療開始が遅れると完全に回復しない場合もあります。
治療のタイミングが重要であるため、異常を感じたらすぐに医師の診察を受けることが大切です。

Q ： 突発性難聴の治療にはどのくらいの時間がかかりますか？
- A ： 治療の期間には個人差がありますが、一般的には数週間から数ヶ月かかることが多いです。
治療開始から2〜3週間以内に聴力の回復がみられることが多いですが、完全な回復には数ヶ月かかることもあります。

まとめ

突発性難聴は突然の聴力低下を伴う病気ですが、早期発見と治療によって回復の可能性が高まります。
日常生活においては、ストレスを減らし、適度な運動やバランスの取れた食事を心がけることが予防に繋がります。
また、耳の健康を保つために定期的な健康チェックを行うことも大切です。

突発性難聴に悩む方々が安心して生活を送れるよう、正しい情報と適切なサポートが求められます。
家族や友人の理解と支援も重要です。突発性難聴の症状を感じたら、早期に耳鼻科医を受診し、適切な治療を受けることが最善の対策です。
医療機関での診断と治療を受けることで、回復の可能性を高め、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。


新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html