2024年4月29日

多汗症について

治験コンシェル

多汗症について

多汗症ってなに?

多汗症(たかんしょう)とは、通常の範囲を超えて過剰に汗をかいてしまう状態のことです。
日常生活の中で、特に体を動かしていないのに大量の汗をかくことがあります。
多汗症は、手のひら、足の裏、脇の下、顔などに多く見られます。
この症状は、単なる不快感にとどまらず、社会生活や仕事、日常の活動において大きな影響を及ぼすことがあります。

どんな種類があるの?

多汗症は大きく分けて「原発性多汗症」と「続発性多汗症」の二種類があります。

原発性多汗症

原発性多汗症は、特定の原因がなく、遺伝的な要素が強いとされています。
このタイプの多汗症は、通常、思春期に始まり、特定の部位(手のひら、足の裏、脇の下、顔など)に限局して汗をかくことが特徴です。

続発性多汗症

続発性多汗症は、他の疾患や薬の副作用として起こるもので、全身に汗をかくことが多いです。
糖尿病、甲状腺機能亢進症、更年期障害などが原因として挙げられます。
また、特定の薬剤(抗うつ薬など)が原因となることもあります。
どうして多汗症になるの? 多汗症の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。

遺伝的要因

原発性多汗症の多くは家族内に同じ症状の人がいることから、遺伝的な要因が強く疑われています。
親や兄弟に多汗症の人がいる場合、そのリスクが高まることがあります。

神経系の異常

多汗症の原因の一つとして、自律神経の異常が考えられます。
交感神経が過剰に反応することで、汗腺が過剰に刺激され、汗が過剰に分泌されることがあるのです。

ホルモンバランスの乱れ

特に続発性多汗症の場合、ホルモンバランスの乱れが原因となることが多いです。
例えば、更年期におけるホルモン変動や甲状腺機能の異常が多汗症を引き起こすことがあります。

多汗症のサイン

多汗症の症状は部位によって異なり、以下のような形で現れます。

手のひら

手のひらに過剰に汗をかくと、書類が濡れてしまったり、握手が困難になったりすることがあります。
特に社交的な場面ではストレスの原因となることが多いです。

足の裏

足の裏に汗をかくと、靴や靴下が濡れ、不快感や悪臭の原因となることがあります。
長時間靴を履いていると皮膚トラブルが発生することもあります。

脇の下

脇の下の多汗は衣類にシミを作りやすく、これが気になると特定の色や素材の服を避けるようになることがあります。
社会的なストレスの原因ともなり得ます。

顔の多汗は見た目の問題だけでなく、化粧が崩れやすくなることから、特に女性にとっては大きな悩みとなることがあります。

どうやって診断するの?

多汗症の診断には、いくつかの方法があります。
医師は患者の症状や生活の質に与える影響を評価し、以下のような診断方法を用いることがあります。

問診

患者の症状の詳細、家族歴、その他の健康状態などを詳しく尋ねることから始まります。 どの部位にどのくらいの頻度で汗をかくのか、汗が日常生活にどの程度影響を与えているのかを確認します。

身体検査

多汗症の程度を確認するために、具体的な部位を検査します。
汗の量を測るために特定のテスト(ヨードスターチテストなど)が行われることがあります。

血液検査

続発性多汗症の原因を特定するために、甲状腺機能や血糖値などを調べる血液検査が行われることがあります。

どんな治療があるの?

多汗症の治療にはいくつかの方法があります。患者の症状の程度や生活への影響に応じて、最適な治療法が選ばれます。

薬物療法

抗コリン薬などの内服薬が用いられることがあります。
これらの薬は汗腺の活動を抑制することで症状を軽減しますが、副作用(口渇、便秘など)があるため、慎重に使用されます。

外用薬

アルミニウム塩を含む制汗剤が一般的に使用されます。
これらの制汗剤は汗腺を収縮させることで、汗の分泌を抑える効果があります。

・塩化アルミニウム外用療法
皮膚表面にある汗の出口を塞ぐことで、発汗を抑えます。効果の持続時間には個人差があります。副作用として、かぶれやひりひり感などがあります。

・抗コリン薬外用療法
皮膚から吸収され、発汗を促す物質(アセチルコリン)をブロックすることで、過剰な発汗を抑えます。副作用として、塗布部位の皮膚の炎症や湿疹、口の渇きなどがあります。

ボトックス注射

ボトックス(ボツリヌス毒素)を汗腺に直接注射することで、神経伝達を遮断し、汗の分泌を抑える方法です。
効果は一時的で、数か月ごとに繰り返し注射する必要があります。

手術

重度の多汗症の場合、外科手術が検討されることがあります。
交感神経を切断または遮断する手術(交感神経切除術)が行われることがありますが、手術にはリスクが伴います。

日常生活でできること

多汗症の症状を和らげるために、日常生活でできる工夫があります。

適切な衣類の選択

吸湿性の高い素材の衣類を選ぶことで、汗を吸収しやすくし、快適に過ごすことができます。
速乾性の素材や、通気性の良い服を選ぶことも有効です。

こまめなシャワーや洗顔

汗をかいた後はこまめにシャワーを浴びたり、顔を洗ったりすることで、汗の臭いや不快感を軽減することができます。

食生活の改善

辛い食べ物や熱い飲み物は汗をかきやすいです。
バランスの良い食事を心がけ、過剰な刺激物を避けることが重要です。

ストレス管理

ストレスは多汗症を悪化させることがあるため、リラックスする時間を持つことが大切です。
ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスを軽減することができます。

予防するにはどうしたらいいの?

多汗症の予防策として、いくつかのポイントがあります。

適度な運動

適度な運動はストレスを軽減し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。
ただし、過度な運動は逆効果となることがあるため、無理のない範囲で行いましょう。

規則正しい生活

規則正しい生活習慣は、自律神経のバランスを保つのに重要です。
十分な睡眠を取り、毎日決まった時間に食事をすることが大切です。

適切な水分補給

適切な水分補給は、体温調節と汗のコントロールに役立ちます。
ただし、カフェインやアルコールなど、利尿作用のある飲み物は避けるようにしましょう。

最後に

多汗症は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があるものの、適切な対処法を取ることで症状を和らげることができます。
自分の体質やライフスタイルに合った方法を見つけることが重要です。
多汗症に悩む方々が少しでも快適に過ごせるよう、正しい知識と対策を身につけることをお勧めします。
多汗症は、単なる身体的な問題だけでなく、心理的な影響も大きいです。
人前での発汗が気になり、社交場面を避けるようになることもあると思います。
専門のカウンセラーや心理療法士と連携し、ストレスや不安の管理方法を学ぶことも有益です。
また、多汗症に関するサポートグループに参加することで、同じ悩みを持つ人々との交流を通じて、気持ちの面でも支えを得ることができるでしょう。

さらに、多汗症に関する最新の研究や治療法の進展についても注目しておくことが大切です。
例えば、新しい薬剤の開発や非侵襲的な治療法の導入など、医療技術の進歩により、多汗症の治療選択肢は日々拡充しています。
最新の情報を入手することで、最適な治療法を選択する手助けとなります。

多汗症は、個々の症状や原因に応じて多様な対処法があります。
自分に合った方法を見つけるためには、専門医との綿密な相談が不可欠です。
また、生活習慣の改善やストレス管理を通じて、日常生活での快適さを維持することが重要です。
適切な対処法を通じて、多汗症に対する不安やストレスを軽減し、より充実した生活を送ることができるよう、心掛けましょう。


新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html

執筆者

治験コンシェル
治験バンクコラムの企画・執筆・編集をしています。マーケティング、SEO対策、デザインに強みを持ったメンバーが、最新情報やノウハウをわかりやすくお届けします。