- 豆知識
2022/02/15
過敏性腸症候群について
過敏性腸症候群とは?
急におなかの調子が悪くなって便意を催すから、通勤電車がコワイ。
ちょっと気になることがあると便秘が続く。どこにも異常はないのに、便秘と下痢を繰り返す。
過敏性腸症候群は、大腸に腫瘍や炎症などの病気がないにも関わらず、おなかの調子が悪く、便秘や下痢などが数カ月以上にわたって続く消化管の病気です。
便秘が続いたり、逆に下痢になりやすかったりと、患者によって症状がさまざまで、そのあらわれ方によって、大きく「慢性下痢型」「不安定型」「分泌型」の3つに分けられます。
慢性下痢型は、ちょっとしたストレスで便意を催し、激しい下痢の症状があらわれます。別名「神経性下痢」と呼ばれます。
不安定型は、腹痛やおなかの不快感とともに下痢と便秘を数日毎に繰り返します。このタイプの便秘はおなかが張って苦しく、排便したにもかかわらず出ない、また出てもごく小さな便しか出ないというものです。別名「交代制便通異常」と呼ばれます。
分泌型は、強い腹痛が続いた後に大量の粘液が排出されます。
過敏性腸症候群の患者は、そうでない人に比べて胃の痛みや胃もたれ、胸やけ、胃食道逆流症を合併している人が多いと指摘されています。
その原因は?
今のところ明らかな原因は分かっていませんが、腸がストレスや自律神経失調などの原因で、刺激に対して過敏な状態になり、便通異常を起こすのではないかと考えられています。
小腸や大腸からなる腸は、食べ物を消化・吸収するだけでなく便として排出する機能も持っています。この、食べ物を排出するための収縮運動は、ストレスなどの影響を受けると運動が過剰になったりけいれん状態になったりして、同時に痛みを感じやすくなります。過敏性腸症候群の人は、特に痛みに敏感なため、腹痛になりやすいのだと考えられています。
治療法は?
過敏性腸症候群の診断には国際的な基準が用いられており、過去3カ月以内に、1カ月あたり3日以上の腹痛や、おなかの不快感が繰り返して起こっているか。さらにそれらの症状が排便によって和らぐか。または、症状によって排便の回数が増えたり減ったりし、便の形状が硬くなったり柔らかくなったりするなど変化するかが診断基準です。
過敏性腸症候群は、大腸がんなどの悪性腫瘍や、炎症性の腸疾患などの異常が見つからないことが条件であるため、大腸内視鏡検査、大腸造影検査、血液検査や尿検査・便検査などを実施して、これらの疾患がないかを診断します。
場合によっては、腹部超音波検査や腹部CT検査なども実施して、甲状腺の機能異常や糖尿病による障害、寄生虫の有無も含めて検査することがあります。
治療法
内臓神経が過敏となる原因が、ストレスだったり暴飲暴食だったり、不規則な生活などによることが多いため、対策としては、食生活の改善(暴飲暴食を避けて3食を規則的に摂る、高脂肪食を控える、アルコールを控える)・生活習慣の改善(ストレスをためず睡眠・休養を十分にとるなど)を行います。
ストレスが原因と見られる場合は、その原因をはっきりとさせてストレスを緩和していくことが必要となります。
また、原因が自律神経失調症による場合もあり、状況によっては心療内科の診察を受けることになります。
細菌やウイルスが原因となる腸炎にかかった場合、回復したあとに過敏性腸症候群になりやすいことがわかっています。
新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html