- 豆知識
2022/02/15
食中毒について
食中毒とは
食事の後、数時間で・・・下痢、腹痛、嘔吐、発熱が。
食中毒に特有の症状というものはありません。そのため、他の病気と間違われることがよくあります。ただ、食事をした後数時間でこうした症状が出た場合は、食中毒を疑うのが一般的です。
食中毒と聞くと、飲食店での食事が原因だと思われがちですが、毎日食べている家庭の食事で発生することのほうが圧倒的に多いのです。
しかも、家庭内での発生では、症状が軽かったり1人か2人の発生だったりが多いため、風邪や寝冷えと思われて食中毒とは気づかないことも。そのまま回復することもありますが、重症化する場合もあるので十分な注意が必要です。
原因は?
食中毒の主な原因としては、細菌、ウイルス、自然(動植物)毒、化学物質、寄生虫などさまざまあり、食べてから症状が出るまでの期間やその症状、予防方法も異なります。
その中でも家庭内で最も多い食中毒の原因は、“細菌とウイルス”です。代表的なものを紹介しますので、ぜひ「予防」に役立ててください。
細菌
サルモネラ:人や家畜などに広く分布
主な原因食品 鶏卵や食肉
症状 悪寒・嘔吐から始まり、腹痛、38度前後の発熱など
腸炎ビブリオ:海産性の魚介類などに潜伏
主な原因食品 魚介類やその加工品、二次汚染された食品
症状 下痢、腹痛、吐き気、嘔吐など。発熱はほとんどない
病原性大腸菌(O157もこの一つ):主に牛の腸管に潜伏
主な原因食品 牛の糞便によって汚染された食肉やその加工品、井戸水など
症状 発熱、激しい腹痛、水溶性の下痢、血便、吐き気、嘔吐など
黄色ブドウ球菌:人や動物の傷口、のど、鼻腔内などで繁殖
主な原因食品 調理する人の手によって汚染された食品(おにぎり、弁当、サンドイッチなど手作りのもの)
症状 激しい吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など
ボツリヌス菌:土壌、河川、海岸、沼地などに潜伏
主な原因食品 酸素のない状態にある缶詰、瓶詰、パック製品、ハム・ソーセージなど
症状 吐き気、嘔吐などに続いて、めまい、頭痛、複視、瞳孔拡大、眼瞼下垂などが起こる。症状が進むと、発声困難、嚥下困難、起立不能などの神経障害、呼吸困難を起こすことも
カンピロバクター:豚、牛、鶏の腸内に潜伏
主な原因食品 食肉やその加工品、牛乳や飲料水
症状 発熱、頭痛、下痢、腹痛など
ウイルス
ノロウイルス:ヒトの腸管内やカキなどの貝類内に潜伏
主な感染経路 カキなどの貝類、調理従事者を介入して二次汚染された惣菜など
症状 吐き、嘔吐、下痢、腹痛。発熱や頭痛、筋肉痛を伴うことも。症状は1~3日続く
治療は?
「食中毒では?」と思った時は、脱水症状を起こさないように水分補給をし、吐き気や嘔吐がある場合は吐きやすいように横向きに寝かせて様子を見ます。
横向きに寝かせるのは、吐いたものがのどに詰まるのを防ぐためです。
特に、乳幼児や高齢者の場合は自力で吐き出せないことがあるため、口の中の嘔吐物は、薄いビニール手袋などをしてかきだしてあげましょう。
腹痛などの症状がなくても下痢が続く場合、自己判断で市販の下痢止め薬を使うのは要注意です。下痢を止めることで食中毒の原因である細菌やウイルスが体外に出るのを邪魔し、症状を悪化させてしまうことがあるからです。同様に、市販の解熱鎮痛剤なども使わないほうがいいでしょう。
血便がある、あるいは、激しい嘔吐や呼吸困難、意識障害などの重い症状がみられる場合、また発熱などがなくても下痢が1日10回以上続く場合は、急いで医療機関を受診してください。
病院での治療方法
まずは、食中毒を起こした原因物質を特定します。治療は、脱水症状を予防するための点滴、抗生物質を使った薬剤療法が中心です。
家庭内における食中毒の予防法、3原則
食中毒菌を「付けない 増やさない やっつける」
付けない、持ち込まないために
調理前や生の肉・魚、卵を扱う前後に手を洗う。残った食品に触るときにも手洗いを。まな板、包丁もよく洗い、生肉をつかむ箸と調理済みの肉をつかむ箸は別のものにします。
細菌を増やさないために
細菌の多くは、高温多湿の環境で増殖が活発になります。食べ物は低温保存しましょう。肉や魚などの生鮮品、お惣菜などは購入したらすぐに冷蔵庫へ。ただ、冷蔵庫に入れても細菌はゆっくり増殖するため、早めに食べ切るようにしましょう。
細菌をやっつける(殺菌)ために
ほとんどの細菌・ウイルスは加熱によって死滅します。肉料理などは、中心部を75℃以上で1分以上加熱するようにしましょう。
ふきん、まな板、包丁などの調理器具は、洗剤で洗ったあと熱湯をかけて殺菌します。
細菌の中には熱耐性があって、加熱しても死なないものもあります。代表的なものがセレウス菌です。ただ、セレウス菌の毒素「セレウリド」は菌が食品中で増殖しなければ産生されないため、室温に放置しない、残ったもの(米飯、ゆでたパスタなど)は冷凍・冷蔵保存するなど、菌の増殖を抑えることで予防できます。
新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html