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  • 豆知識

2022/02/15

エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)について

エコノミークラス症候群とは?

長時間飛行機に乗ったあと、飛行機を降りて歩き始めたとたんに呼吸困難やショックを起こした。
急に胸が痛くなり、失神した。
これまで健康だったのに、突然亡くなった。

旅行シーズンになると、とくに注意したいのがエコノミークラス症候群です。飛行機のエコノミークラスで長時間狭い椅子に座ったままの状態が続くと、足の血液の流れが悪くなり、静脈の中に血の塊(静脈血栓)ができることがあります。
この静脈血栓が到着後の歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着すると、肺の動脈を閉塞してしまいます。
これが急性肺血栓塞栓症=エコノミークラス症候群です。
突然死に至る怖い病気として1980年~1990年ごろから有名になりました。

この病気はエコノミークラスの乗客だけでなく、ビジネスクラス以上の乗客や、車の長距離運転手などにも発症することが知られてきたため「旅行者血栓症」とも呼ばれています。

その原因は?

食事や水分を十分に取らない状態で、飛行機や車などの狭い座席に長時間座って足を動かさないでいると、血行不良が起こり、血液が固まりやすくなります。
こうしてできた血の固まり(血栓)が、血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発するのがエコノミークラス症候群です。

症状の出方は、どの程度の大きさの静脈血栓が飛んだかによります。比較的小さい血栓の場合はまったく無症状のこともあります。
ある程度以上の大きさの血栓が飛んできて肺動脈を閉塞する、と突然、呼吸困難が起こります。肺の血管が詰まると、呼吸によって肺の中まで入ってきた酸素が血液の中に十分取り込まれなくなり、結果、血液中の酸素の濃度が低下するからです。
また、非常に大きな血栓が肺動脈に詰まると血液は全く流れなくなります。この場合は失神やショックを起こしてしまいます。

治療法は?予防のためには?

重症の場合は、死亡することもあるエコノミークラス症候群。
基本的な治療としては抗凝固療法を施します。また、必要に応じて血栓溶解療法、カテーテル的肺動脈血栓破砕療法、外科的肺動脈血栓摘除術、下大静脈内フィルター留置術を行います。

予防のために

1)ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う、できれば立ち上がって歩く
2)こまめに、十分に水分を取る   
3)アルコールを控える。できれば禁煙をする
4)ゆったりとした服装にし、ベルトはきつく締めない
5)かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
6)眠るときは足をあげる

予防のために十分に注意をしていても、症状が出やすい人(血液が固まりやすい体質)がいます。生まれつきの場合(先天性血栓性素因)、なんらかの病気がきっかけでそうした素因を持ってしまう場合(後天性血栓性素因)があります。
これらの異常は、血液検査をすれば簡単に診断できるため、機会を見つけて一度測定しておくとよいでしょう。

新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html