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  • 豆知識

2022/02/15

肝硬変について

肝硬変とは

これといった症状もなく(初期)、健診の血液検査で異常がわかり、ビックリ。
疲れやすくて足がだるい、足がむくむ。
倦怠感がひどく、腹水がたまっているため、お腹が張る。
食欲がなく、体重が減ってきた。しょっちゅうこむら返りが起こる。
黄疸が出てきた、手のひら周辺が赤くなってきた。

肝臓は、胃の右上、肋骨の下にある臓器です。身体に必要な様々な物質を作り、不要になったり、有害だったりする物質を解毒、排泄するなど、重要かつ多様な働きをしています。重さ1kg以上ある大きな臓器のため、病気でその働きが損なわれても症状が現れにくく、そのため「沈黙の臓器」とも言われています。

肝硬変とは、慢性肝疾患の終末期の状態と考えられています。長期にわたって肝臓に炎症が起こり、幹細胞が破壊と修復を繰り返すことで、肝臓内に結合組織が大量に増えます(線維化=やけどの後のケロイドのような状態)。この線維化が進むことで、本来はやわらかい肝臓全体が硬く小さくなっていきます。この状態が肝硬変です。こうなると、本来、障害を受けても再生しやすいと言われる肝臓も、元の状態に戻すことはできません。

肝硬変の初期は、ほとんど症状が見られません。しかし肝臓の線維化が進み、肝臓の働きが低下してくると、倦怠感を感じたり、足がむくんだり、腹水でお腹が張ったり、黄疸、食道胃静脈瘤破裂・出血など肝機能の低下や血流障害による症状がみられるようになります。
また最悪の場合は肝不全や、肝臓がんに発展します。
線維化、およびその進行を食い止めるためにも、早期発見、早期治療が重要になります。

その原因は?

肝臓の、長期にわたる慢性的な炎症が肝硬変の主な原因です。
炎症を引き起こす要因として多いのがB型やC型肝炎ウイルスへの感染で、全体の8割近くを占めています(これらのウイルスは血液や体液を介して感染するため、血液や体液に触れる機会のある人は要注意)。
その他、アルコールの過剰摂取、自己免疫性肝炎、薬物による肝障害など、原因はさまざまですが、とくにアルコールは、肝臓病と切っても切れない関係にあります。ただ、飲酒量が適量以下にもかかわらず脂肪肝から肝炎、肝硬変へと発展する非アルコール性脂肪性肝炎も増えているため注意が必要です。

指定難病の一つである自己免疫性肝炎は、免疫システムが自らの肝細胞を破壊してしまう病気で、治療が遅れて肝硬変に至るケースも見られます。
これまで、おもに中年以降の女性に多発していましたが、近年では子どもや若い人、男性の発症も増えているようです(全国に9,000人程度)。

治療法は?

ウイルス性、その他が原因の治療法

日本には患者が40万人程度いると考えられる肝硬変。硬くなった肝臓を元の健康な状態に戻すことは難しいため、残された肝機能を維持し、新たな合併症や肝臓がんを予防することを目ざします。
代表的なものが、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス療法です。抗ウイルス薬によって肝炎ウイルスを排除したり、増えるのを抑えたりすると、肝臓の炎症は収まります。
また、抗ウイルス薬が効かない場合や使えない場合には、肝炎を鎮静化させて肝細胞が壊れるのを抑えるグリチルリチン製剤といった抗炎症薬を内服ないし注射する、肝庇護療法を行います。
これらの治療によって、血中に漏れ出るAST、ALTの検査値が低下すると、肝硬変へ進むスピードはゆっくりとなります。また、肝がんの発生を先延ばしすることもできます。

自己免疫性肝炎の治療法

自己免疫異常によって起こる肝炎の治療の基本は、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤の内服です。これによって肝機能検査値が改善していけば、推移を見ながらくすりを減量しつつ服用を続けます。
内服薬と併行して、肝硬変による合併症の治療も行います。たとえば腹水やむくみは、塩分や水分を控えた生活を心がけながら、利尿薬やアルブミンの投与を実施し、食道静脈瘤は内視鏡的治療やIVR(インターベンショナルラジオロジー)という画像化治療を行い、それらの治療で効果が出ないときには、手術を行うこともあります。

自己免疫性肝炎の治療には副腎皮質ステロイドが使用されますが、副作用として食欲亢進や肥満、糖尿病、脂質異常症が出現することがあります。したがって、食事の量に気をつけ、高カロリー食を避け、体重が増えないようにすることが大切です。
また、脂肪性肝炎では禁酒や食事療法と運動療法による体重制限が最も重要な治療法となります。これらの治療で改善しない場合は、薬物療法を行う場合もあります。

新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html