- 豆知識
2022/02/15
前立腺肥大症について
前立腺肥大症とは?
夜中に何度もトイレに起きる。排尿に時間がかかり、尿が完全に出きらない。尿の勢いがなくなった。おなかに力を入れないと排尿できない。
前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)とは、中高年の男性に見られる良性の疾患で、前立腺という組織が加齢と共に徐々に肥大していくものです。
「前立腺」は膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在しています。前立腺肥大症になると、通常はクルミほどの大きさの前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を起こします。
尿を出すことに関連する排尿症状、尿をためることに関連する蓄尿症状、尿を出した後の排尿後症状があり、第1期、第2期、第3期と、進行度合いによって症状が異なります。
1期・頻尿、とくに夜間の頻尿が現れ、尿がなかなか出始めない。尿の勢いが弱くなる
2期・排尿困難の症状が強くなり、おなかに力を入れないと出ない。残尿が発生(150mlまで)。排尿してもスッキリしない。
3期・トイレに行く回数がさらに増え、排尿にかかる時間も長くなる。悪化にともなって自力で排尿できなくなり、残尿で膀胱がいっぱいになる。切迫性尿失禁の症状も見られる。
その原因は?
前立腺がなぜ肥大するかは、今の段階でははっきりと解明されていません。ただ、50歳頃を起点として、年齢が上がるにつれて患者数が増えていることから、加齢によって男性ホルモンの働きに変化が生じ、性ホルモン全体のバランスが変わることが原因ではないかと考えられています。70歳を超えると、男性の約70%が前立腺肥大症になるということからも、加齢が一番の要因と思われます。
ほかには、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症、メタボリック症候群といった生活習慣病との関連性を指摘する意見もあります。
治療法は?予防法は?
治療法は
症状が軽い場合は、まず薬物療法で様子を見ます。前立腺や尿道の筋肉を緩めて尿の通りを良くする交感神経アルファ1遮断薬、男性ホルモンの働きを抑えて肥大した前立腺を小さくする抗男性ホルモン薬、前立腺の炎症を鎮める漢方薬や植物エキス製剤があります。
手術治療には尿道から内視鏡を挿入して肥大した前立腺を電気メスで取り除く「経尿道的前立腺切除術」があります。最も標準的で広く行われている手術です。
「ホルミウムレーザー前立腺核出術」は最近広まりつつある手術で、尿道から内視鏡を挿入し、レーザーを照射しながら肥大した前立腺(内腺)と外腺の間を剥離して、内腺部分をくり抜く方法です。くり抜いた内腺は膀胱の中で細かく砕いて吸引します。
最新治療としては「レーザー前立腺蒸散術」「グリーンライトレーザー治療」があります。尿道から挿入した内視鏡を使って高出力のレーザーを照射し、肥大化した内腺を蒸散(蒸発)させながら切除します。表面に薄い凝固層ができるため出血量が非常に少なく、術後のカテーテルが早期に抜去できるなど身体への負担が少ない手術です。
予防法としては
日常生活の中に、前立腺肥大症を抑える効果があると期待される方法があります。
まず、腎臓や膀胱に悪影響を与えないように、尿意を感じたらすぐにトイレへ行くこと。さらに、男性ホルモンが活発化するといわれている食事(コレステロールの高い食品)をなるべく摂らないこと。お酒は、前立腺が充血して尿が出にくくなるため、飲み過ぎないようにすること。
このほか、排尿障害を促進させる成分の入った薬(風邪薬・精神安定剤、抗ヒスタミン剤)を飲むときは、かかりつけ医に相談しましょう。
新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html