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  • 豆知識

2022/02/15

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎とは?

顔や手足の皮フが乾燥してかゆくなり、夜も眠れない。かゆみのある湿疹が体中に繰り返し出る。かいているうちに炎症を起こしたり、治まったあとの肌がガサガサになったり、ゴワゴワになったりする。

2017年厚生労働省の調べでは、45万人もの患者さんが確認されたアトピー性皮膚炎。皮フのバリア機能(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることが多く、外から抗原や刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びついて炎症が起こる、アレルギー性の病気です。
湿疹は、ひたい、目や口の周囲、唇、あご、四肢の関節部分、胴まわりなどによく出ます。赤ちゃんの頃に発症して、小児期には治る人と、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、おとなになっても症状を持ち続ける人がいます。

原因は?

皮フのバリア機能の低下、遺伝(アトピー素因)、汗や髪の毛・衣服や金属による摩擦や刺激、ダニやホコリ、花粉、ペットの毛の吸入など、さまざまな要因で発症するため「多因子疾患」と言われています。
これまでは主に、皮フがアレルギー物質や刺激に過敏に反応する「アレルギー疾患」であるとか、皮フのセラミド(細胞間脂質)減少による「皮フバリア機能の異常」であると考えられていましたが、2006年には、角質のフィラグリンというたんぱく質の遺伝子変異で発症すると報告されるなど、研究が進むことでさらに新たな因子が明らかになってきています。

また最近の研究では、「皮フの常在菌」が発症の一因では?という研究結果も出てきました。私たちの腸にはたくさんの腸内細菌がいますが、同じように皮フにもさまざまな常在菌がいて、微妙なバランスで皮フの健康を保っており、その細菌叢とアトピー性皮膚炎には関わりがありそうだとのことです。発症の因子が解明されると、新しい治療法も見つかることになり、患者さんにとっては大きな希望になります。

このほか、アトピー性皮膚炎の増加の理由として、ライフスタイルの変化も挙げられています。学校や職場でのストレス、不規則な生活習慣、食事内容(肉類・油脂類の摂取が増えていること)なども発症や、症状の悪化に影響しているようです。

治療法は?

疾患そのものを完治させる治療法がなく、治療の最終目標は「症状がないか、あっても軽くて日常生活に支障がなく、薬物療法をほぼ必要としない状態を維持すること」とされています。
基本的な治療法は 1)薬物療法 2)スキンケア 3)悪化要因の対策の3つです。
・薬物療法
薬物療法としては、炎症の程度によって副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)と免疫調整薬タクロリムス軟膏の2つの外用薬を用いることが基本です。この他に、かゆみ止めの抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などが用いられます。
また、現在診療の現場で主流になっているのが、「プロアクティブ療法」という治療法です。アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすいため、ぶり返しを少なくするために先手を打って、発症を防ぐ治療を行っています。それは、症状が治っても、定期的にステロイド薬やタクロリムスを塗ることで、皮膚を良好に保つというものです。

スキンケア(保湿)

スキンケア療法の基本は、皮膚を清潔にして保湿することです。保湿剤には「保湿」のためのものとワセリンのような「保護」するものの2種類があります。ワセリンは水分がある状態でなじませるとしっとり感が続くため、入浴後に、少し水分が残った状態で使用すると効果的です。
また、美容目的の使用でニュースになったヒルドイドは、医師の処方で用いられる保湿剤の代表のようなものですが、自分の肌に合うものであれば市販品で十分です。乾燥が特に気になる季節には、保湿剤を塗り、さらにワセリンを塗り重ねると保湿効果が持続します。

悪化要因の対策

アレルゲンとなるダニやホコリ、花粉、ペットの毛、カビなどの吸入を避けるため、掃除を徹底したり、空気清浄機を備えたりして対応します。汗や髪の毛・衣服や金属による摩擦や刺激にも注意して悪化因子を可能な限り取り除きます。
また、ストレスやライフスタイル、偏った食事が発症や悪化の一因とならないよう、医師のアドバイスを取り入れた生活に変えていきましょう。

新しい薬を誕生させるために行われる「治験」についての説明は公的機関の情報もご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu.html